LAND UTILIZATION

土地活用コンサルティングとは

余裕がある収支計画でスタートする

収支が合うことが絶対条件

 土地を残しながら節税対策をするためには、賃貸住宅を建てて貸すことが節税対策となります。それだけに、空き地があれば「借入をして賃貸住宅を建てましょう」という提案をされることになります。確かに、相続になったときに建築資金の借入が残っているのであれば、プラス財産から差し引くことができるため、節税効果は得られます。
 しかし、賃貸事業の目的が相続税の節税対策のためだとしても、相続はいつになるかわかりません。けれども建築費の借入期間は30年ほどもあり、鉄筋コンクリートの建物を建てた場合は50年位は持ちますので、とにかく長丁場なのです。
 そうした賃貸事業の前提となるのは、収支が合うことだと言えます。収支の見極めが甘いと、空室が増えると家賃収入が返済を下回り、足りない分は自己資金を補填しなければならない事態になります。これでは何のための賃貸事業かと思いたくなるでしょう。
 そうしたリスクを想定すると、賃貸事業として収支バランスが取れるようなバランスをみてスタートしておく必要があると言うことです。「借金しておけば相続対策」は、過去の話です。

利回りよりも手取り

 投資物件の場合、年間の家賃収入を購入する金額で割った数字を表面利回りといい、判断材料となります。たとえば、月額5万円のワンルーム8世帯のアパートがあれば年間の家賃は480万円です。そのアパートを4000万円で購入する場合、表面利回りは12%だとなり、投資効果を利回りという数字で判断します。
 しかし、もともと土地がある場合は建築資金を借り入れる場合がほとんどですので、家賃収入から建築費の借入返済や管理費を引いた「手取り」で考えるほうが現実的です。そのときに目安している手取りの基準は、家賃収入の半分程度です。
 たとえば、45㎡(13.6坪)の1LDKを10世帯建てるとし、建築費は9000万円、諸費用を含んで総事業費の1億円を全額借入したとします。家賃は地域により違いますが、1世帯8万円だとすると事業収支は次のような計算になります。

これは月額収支の目安であり、ここから固定資産税や修繕費、清掃費、設備のメンテナンス費用等がかかりますが、まずは事業計画を立てるときの基準とします。

安定経営の範囲

 賃貸事業のシミュレーションは、実は、決まった基準がありません。それぞれの提案者が独自に条件を想定して作成していますので、同じ土地にしても提案する人によって違うのが現状でしょう。家賃をどう想定するのか、建築費をどう想定するのか、その他の事業費をどう想定するのか、などで変わってきます。
 またシミュレーションは30年でも35年でも出せますので、毎年の税引き後の手取り計算もできますが、これもまた、その間の家賃をどう想定するか、空室率をどう想定するか、金利をどう想定するか、修繕費をどう想定するか、固定資産税をどう見るか、などにより、ほんとうにさまざまです。
 また、融資をする金融機関に言わせれば、現実にスタートする融資の利率は1%台であっても計画上は、「6%の金利時に80%の入居率で採算が合わなければいけない」というような念には念を入れた上で判断するというところもある程です。
 この金融機関の審査基準を逆手に取り、画に描いた餅のごとく、見栄えのいいシミュレーションを作成することはたやすいことだと言えますが、実際には募集する家賃や建築費は現実の相場があるわけですから、見せかけのシミュレーションよりもスタートする時の現実の収支のバランスにこだわって事業計画を組み立てます。
 たとえば、前記の収支計画で建築費が1億2000万円になる場合、それに準じて家賃があがれば変わりませんが、家賃がそのままの場合、下記のように変わります。

建築費が1億5000万円になる場合、下記のように変わります。

 事業費が増えると借入金が増え、返済が増えることで、自ずと手取額が減ることになります。固定資産税の納付や修繕費の支出や積み立てを考えると、なるべく多く手元に残ることが望ましいことですが、家賃の半分から6割くらいまでに返済を押さえるほうが安心できます。そうしたバランスから建築費や借入額を決めていくようにします。

どこで余裕をつくるのか

 前記のように、仮に建築費が2000万円あがる場合、その2000万円の内容の設備や仕様がよくなることであれば、家賃を上げることになりますので、問題はありません。2000万円分の返済額は73,627円ですから、1世帯当たり月額7362円増える分を家賃に上乗せして、87362円の家賃収入が得られるのであれば、最初の収支バランスと変わりません。ならば、たいした問題ではないかというと、実はこの論理はかなり難しいことなのです。家賃の決め方に決まりはないので、入居者が納得して払ってくれるのであれば9万円でも10万円でもいいのですが、そう簡単にはいきません。
 家賃の決め方の目安は、部屋の面積と間取りが一つの基準となり、次に立地、環境、室内のグレードという順ですので、建築コストがそのまま家賃に反映されるとは限りません。そうなると、家賃に反映されない2000万円のコスト増は、単に手取りの減額へとつながるということです。
 こういう場合にこだわることは、あくまで適正な収支バランスを保つために、建築コストを削減する余地がないか検討し、グレードを落とさないような方法で収支バランスを戻すことです。
家賃はできるだけ堅めに想定して、無理なく入居者に選択してもらえる範囲を死守するようにします。そして、計画中には簡単に上げて調整をとることをせず、建築費を含めた事業費を徹底的に見直しすことで、適正で安全な収支バランスを目標として帳尻を合わせていく作業を優先するようにします。
 それは、単に建築費を値引きして帳尻を合わせるということではなく、目指すグレードを落とさないでコンサルチームの提案する収支バランスを目標とし、設計会社や建築会社が知恵を出し合うことです。
 たとえば、設備のメーカーを変えることで予定していた製品と同程度のものをつけられることもあるかもしれません。あるいは、見映えは変わらない程度のものに変えることでもいいかもしれません。このような細部にわたる内容で検討を重ねます。
 この作業は、賃貸住宅のグレードに影響しない範囲で行うことが目的ですから、収支計画どおりのバランスを保つことができ、事業の余裕を生み出すポイントになります。

オーダーメイドの感覚で資産価値を高める

◇コンセプト作りのポイント

 賃貸住宅を建てる場合には、コンセプト作りが必要です。コンセプト作りのポイントとなることは、間取り、家賃、設備の3点です。その上で、周辺の環境や立地などから、建てる 賃貸住宅の特徴を定めるようにします。
賃貸住宅を探す人の条件の順番は、①家賃、②間取り、③設備、④駅 ⑤周辺環境、がおおよそのところです。それを踏まえてコンセプト作りをするようにします。

1.競合しない間取りの選択

 数が多いところに参入するよりも、「ニーズがあるけれどもまだ少ない間取り」を選択していった方が確実で成果があげられます。立地や環境によりさまざまですので、まずは周辺の既存物件の調査をして、どういう間取りが適切か判断します。
 さらには、より多くの入居者のニーズがある間取りを選択していくならば、「1人でも、夫婦でも、子供がいても住める間取り」にすることが必要です。また、分譲マンションの購入派と競合しないためにも、賃貸住宅では、”狭すぎず、広すぎず”の間取りにしておくことがいいと考えます。
 かつては、相続対策用で建てる賃貸住宅といえば、単身者用のワンルームが主流でした。しかも、なるべくコンパクトにして、戸数を増やすようにしたため、トイレ、バス、洗面が一体となったビジネスホテルのような20㎡もない部屋もありました。けれども、現在では、そうしたワンルームを選択する入居者は少ないと言えます。
 こうした理由から、提案する場合の多くは、30㎡以上のワンルームから、45㎡程度の1LDKと70㎡以下の2LDKが主流になります。

2.最初に家賃を想定する

 その土地がある地域により、家賃の相場があり、理想的な設備をつけて高い家賃設定にしても苦戦することもあります。そこを戦略的に、今までにない物件なので、高くても入居者を見つけることは可能という判断もあります。あるいは、周辺の家賃相場を踏まえた上で同等の家賃で設備仕様がいいものをつくり、入居者の選択を優位にしようという考えもあります。
 前述の間取りと家賃の選択やバランスは、いくら机上で描いていても始まりません。私はコンセプト作りの段階で既に客付けを想定し、現実に賃貸管理会社の意見を盛り込んで提案するようにしています。とりあえず建ててしまって、家賃や管理会社はあとから決めることでは後手後手となり、いい時期やタイミングを逃すこともあるかもしれませんので、コンセプト作りやその後の手順や段取りが、その後の賃貸事業の命運を分けると言っても過言ではありません。

3.入居の時期にはこだわる

 賃貸住宅が一番必要となる時期は、1月から3月までの入学、入社など移動の時期です。学校の区切りの卒業、入学時期に合わせて多くの人が住まいを移し、入社や転勤など仕事の都合でも住まいが変わることになります。中には、勤務地が変わるので早急に探す場合もありますが、多くは何ヶ月か前の予定で探し始めることでしょう。結婚や就職、入学が決まれば、早めに探して落ち着きたいところです。
 逆に貸す立場から考えれば、早めに決めておいてもらうには、まず募集する管理会社を決めることが先決ですが、早めに家賃や共益費などの募集条件、入居の時期を決めてしまって選択のテーブルに載せるようにしてしまうことが必要であり、さらには入居を多くの人が検討してくれる確実な時期にしておくことが必要だということです。
 提案する側にとって一番いい時期は、入居が1月から3月半ばが最適だと考えていますので、その時期を想定した上で逆算しながらスケジュールを組むようにしています。事業の状況によっては、完成が最適な時期にならないこともありますが、できる限りはいい時期に完成させることが鉄則です。

4.絶対はずせない設備・仕様はこれ

 株式会社リクルート住まいカンパニーが、21C住環境研究会と共同行っている「首都圏賃貸住宅市場における入居者ニーズと意識調査2012-2013」では下記の結果が出ています。
 調査対象は、2012年9月~2013年3月に首都圏の賃貸物件に賃貸契約を行った人で、
ひとり暮らし791人、ふたり127人、ファミリー219人、全体1137人が回答者です。

●多少家賃が上がっても欲しいサービス・設備
 1位「24時間ゴミだし可能」(41.1%)、2位「宅配ボックス」(28.4%)、3位「防犯カメラ」(24.3%)。
●お金を払ってでも受けたいと思うサービス
 1位「プロバイダサービス」(33.0%)、2位「ゴキブリ・ダニなどの防虫駆除サービス」(30.3%)、3位「クリーニング受付サービス」(25.8%)。
●住まいに最初からついておいて欲しい設備・仕様
 1位「壁掛け薄型TV」(16.9%)、2位「洗濯機」(15.4%)、3位「乾燥機」(15.2%)。
●エコ設備の認知と需要
 1位「LED照明」(70.6%)、2位「断熱サッシ」(59.5%)、3位「窓に遮熱フィルム」(57.4%)。

 どの程度の設備や仕様にすればいいのかは、事業費や間取りやコンセプトによりさまざまですので一概には決められませんが、仮にあげるとすれば次のような項目になるのではないでしょうか。

<絶対必要>
・エアコン・追い焚き機能付きバス・TVドアホン・ピッキング対応キー・シャッターもしくは雨戸・広い収納・バストイレ別・独立洗面所・インターネット対応
<できればつけたい>
・シャンプードレッサー・ウォシュレット・ウォームレット・システムキッチン・カウンターキッチン・BS・CS・CATV・オートロック・宅配ボックス・人感センサー(玄関)
・敷地内駐車場・24時間緊急対応

5.とくにアピールできるウリを決める

<これはまだ差別化>
・IHクッキングヒーター・食器洗浄機・ウォークインクローゼット・床下収納・浴室換気暖房乾燥機・浴室TV・大型ユニットバス・人感センサー(玄関)
<理想はこれも>
・オール電化・床暖房・浄水器・ディスポーザー・ミストサウナ・浴槽内残り湯を、洗濯 給水へ電源一つで出来る給水設備・バルコニー側への浴室配置・角部屋のルーフバルコニー
・可動式収納・引き戸・建物全体のバリアフリー化・セキュリテイー完備・1階専用庭・ 強化ガラス・ペット共生型

分譲マンションにも劣らないグレード

 いままでの賃貸住宅では、「住宅を買えない人が借りる」というイメージがありましたが、明らかに賃貸事情は変化をしています。いまや「買えない」のでなく、「買わない」選択をする人が増えているということです。
 「家を持つこと」は夢でもあこがれだった時代がすぎ、自宅を購入することは「収益を生まない不動産に投資するリスク」とまで言われているほどなのです。この傾向はますます増大すると予想され、「投資するのは利益を生む収益物件や株であり、自宅は自由に選択できる賃貸」という人たちは増えていくだろうと思われます。

 そうした賃貸派が賃貸需要を作っていくことを想定した場合、いままでのプレハブ住宅のようなありきたりの賃貸アパートで満足するはずがありません。これからの賃貸住宅のポイントは、そうした賃貸派の選択眼をとらえられるだけの「分譲マンション並のグレード」が必要だということです。
 目指すところは、「分譲マンションにも劣らない、グレードの高い賃貸住宅を、安いと思えるくらいの適正な家賃設定により供給し、満足して長く住んでもらうこと」にあります。そのバランスを作り出すもとになるのは、「分譲マンションにも劣らないグレードの高い賃貸住宅を作るセンス」と、「建築事業費を、グレードを落とさないように工夫をしてなるべく安くおさえる見極めをすること」にあります。

オーダーメイドの醍醐味

 もうひとつの目標は、「できるだけオーダーメイド」を目指すことです。ハウスメーカーの既製品である「商品」ではなく、所有する土地や立地や環境や自分のこだわりに応じて、オリジナリティを出した賃貸住宅にしておくことが大事です。個人の住宅で言えば「建て売り住宅」ではなく、「注文住宅」というところでしょうか。
 建て売りより注文住宅の方が手間がかかることは当然ですので、価格が高くても納得できるところでしょう。それを賃貸住宅にあてはめた場合も同様で、「できるだけオーダーメード」にすると、既製品の賃貸住宅よりもコストがかかることもあるでしょう。
 賃貸住宅にも「できるだけオーダーメード」がいいのは、ありふれた既製品の賃貸住宅と差別化できることです。手間と労力がかかりますが、その分、作り手のこだわりや工夫が、住み手にも伝わり、なんとなくぬくもりのある部屋になります。
 こうして大家さんとコンサルチームが知恵を絞って取り組むことで、納得のいく賃貸住宅が建てられるというものですが、これはいくらでも費用をかけていいものを作ることではありません。
 収支のバランスが取れる範囲を見極めた上で、建築コストを決めますので、大きな予算を使えない場合は、部分的に、「少しだけオーダーメード」になることもあるでしょう。それでも、少なくとも「商品」とは違う、オリジナルの建物になるということです。

自分が住みたい部屋にする

 賃貸住宅を建てるということは、賃貸事業を始めることですので、「家賃を払ってもらえる空間作り」が必要です。賃貸住宅は、以前のように「安かろう、悪かろう」では数ある競合物件の中で選択してもらえないということもあります。
 では、どうすればいいかというと、ひとつの基準とすれば、自分が住んでもいいくらいの部屋作りをしておくことを目指すようにします。そうした視点で賃貸住宅作りをすることで、いろいろな工夫やアイデアが出てはずで、愛着がわくのです。どうせ賃貸するので、自分は関係なし、建築会社にの言うとおりにお任せ、ということでは、建築会社が去ってしまった賃貸事業の長丁場を乗り切れるかどうか、不安ではないでしょうか。
 賃貸事業は20年、30年、あるいはそれ以上と長丁場になりますので、自分の感覚を活かし、コンサルチームのアドバイスも盛り込み、競合を勝ち抜く賃貸住宅作りをしておけば、長い賃貸事業のスタートとしては安心ではないでしょうか。
 これからの賃貸住宅経営は、賃貸だからこの程度でいいという感覚は捨てて、「賃料収入を生む財産」として、それなりの投資をしなければ維持できないと考えます。その結果、自分が住んでもいいくらいの部屋にしておくことが必要だと言えるのです。

一番のセールスポイントはなにか

 目指すところは、「分譲マンションにも劣らない、グレードの高い賃貸住宅を、安いと思えるくらいの適正な家賃設定により供給し、満足して長く住んでもらうこと」です。
賃貸住宅としてアピールし、その存在価値を高めるためには、もっとわかりやすい、数ある物件の中でも差別化できる「セールスポイント」があることは絶対的な強みになります。 「セールスポイント」は、大家さんやコンサルチームのこだわりによって創り出すようにしますが、賃貸住宅つくりに大きく影響をしますので、大事なことだと言えます。
 事例をあげると、「プレシェルト壱番館」は間取りや仕様やカラーなど3つのテイストを作り、フロアーによってテイストを分けるようにしました。間取りも少しずつ違うものにし、好みによって選択してもらえるようにしました。
 「プレシェルト弐番館」は最上階をメゾネットにして開放感をもたせました。土地の高低差を利用した半地下の部屋を持つタイプや角部屋をワンルームとし、他は1LDから2LDKのバリエーションも作り、プライベートガーデンとしてイングリッシュガーデンも設置しました。
 それぞれの特徴が最大のセールスポイントになっていい意味で主張する賃貸住宅になっています。それぞれの物件毎に特徴となるものを決めて、差別化することで、アピールできる、主張する賃貸住宅を仕上がっているのです。


理想はこんな賃貸住宅!

 賃貸住宅作りのテーマは、「分譲マンションにも劣らない、グレードの高い賃貸住宅を、安いと思えるくらいの適正な家賃設定により供給し、満足して長く住んでもらうこと」
です。今までの一般的な認識では、賃貸マンションよりも分譲マンションの方が設備や仕様がいいというイメージがありました。
 果たしてそうなのか、どこが違うのかと考えてみましたが、当然、賃貸よりは分譲の方が全体の戸数や敷地が大きいので管理体制は整っていると言えますが、室内の設備や仕様はほとんど変わりはなく作れるわけです。実際、賃貸であっても分譲よりも間取りや空間の取り方やがよかったり、住みやすかったりすることがあるはずです。また、こだわりによって分譲よりも心地よい住環境を作ることもできるでしょう。
 ならば何でも最高級の設備・仕様にしてしまえば簡単なことですが、事業収支のバランスを考えないといけないことが大前提で忘れてはなりませんが、それでもこうした賃貸住宅を作りたいという理想をもっていることは大事なことだと考えています。その上で、事業収支との兼ね合いをつけていくことになりますが、理想をあげてみたいたと思います。

<理想の賃貸住宅>
  • ・位 置・・・南に面している部屋が多く取れる建物配置であること
  • ・間取り・・・各部屋にバルコニーがあり、十分な採光が取れること
           リビングよりも各居室が広く、それぞれにゆったりした収納がある
  • ハイサッシ、天井の高さ、ロフトなどで開放感があること
  • 風通しがよく、換気・除湿にも優れていること
  • ・設備・仕様・・・室内はバリアフリー、各部屋の入り口は引き戸としたい
  • 各部屋にインターネット設備や多めのコンセントがあること
  • シックハウス対策のある健康に配慮した素材であること
  • 生活水として適していること、または浄水器を完備すること
  • 給排水や照明の設備は利用しやすく、手入れや清掃が楽なこと
  • 防犯上、エントランス、玄関、窓等の設備が安心であること
  • ペットも同居できる間取り、仕様であること
  • 上下階、各部屋の遮音に優れていること
  • ・共用部分・・・駐車場、駐輪場、バイク置き場が必要台数分あること
  • ・外 観・・・・高級感があり、年数を重ねても劣化しないこと
  • ・全 体・・・満足度の高いグレードであるのに安いと思える家賃設定であること
  •  

自分も参加して愛着のある賃貸住宅を建てる

自分の財産作りで夢を持ちたい

 コンサルチームのご提案では、大家さんも一緒になって賃貸住宅を作り上げる過程に参加してもらうようにしています。賃貸住宅を作る過程では、いろいろな苦労やアクシデントもありますので、そうした過程や試行錯誤も共有しながら工事期間を体験して頂くことで、煩わしさはあるものの自分の子供のように、愛着を持って頂きたいと思うからです。 賃貸住宅は、納税対策や節税対策や家賃収入を得る手段だとして取り組まれる場合、煩わしいことはしたくないと思われるかもしれません。建ててしまえば他人に貸すので、それ以上のことは考えなくてもいいのではないかという気持ちもあるかもしれません。

 しかし、それで済ませてしまうには、賃貸事業は長く、投資額も大きいわけですから、残念なことではないかと思えるのです。コンサルチームが、その大変さを夢や楽しみに変えるお手伝いをし、価値を見いだせて有意義な体験になるサポートをしていきます。

 このような思いもあり、賃貸住宅を作り上げていく作業によりオーダーメイドとしての資産価値を高めていくのです。関係者の誰もが自分の作品というプロ感覚でアイデァを出しますので、大家さんとしてもだんだんと愛着が出て、賃貸事業に取り組む覚悟もでき、夢を持てるようになるのだと考えています。

自分で作ってこそ価値が出る

 ご自分が住む家を建てるとなればいろいろとこだわりがあり、ああしたい、こうしたいという希望がでてきます。高い建築費を払って、長く住むつもりで建てるはずですし、一生に一度かもしれない終の棲家になるかと思うと、こだわりがあるのは当然のことです。そうして建てた自宅にはやはり毎日生活をしている中で愛着がわき、長く維持していきたいと思うことでしょう。

 ところが、賃貸物件となると、なにもかも建築会社の営業マンに任せてしまうことが多いように見受けられます。中にはろくに間取りも見ていないという人もあるかも知れません。完成して引き渡しのときに見た程度で、そのあと、入退去があったとしても賃貸管理会社に任せてしまうこともめずらしくはありません。

 同じ自分の財産であってもこうした違いがあることは少なからず現実のことです。賃貸住宅に対して愛着がわかないのは、自分が住んでいるわけてではないからということも言えますが、建てるときに任せてしまったということも考えられるのではないでしょうか。

 賃貸住宅も自分で建てた財産ですから、少なくても20数年、長ければ数十年以上も財産として長く所有する建物になるわけです。それであれば、自分のこだわりを生かして建てた満足感があり、さらに周辺の町並みにも調和した建物であれば、自ずと資産価値があるものなるのではないでしょうか。

自分が一番よく知っているという自信

 設計会社や建築会社は、建物が完成し、引き渡しが終わると仕事が終わります。あとはアフターケアや修繕のときしか用がなくなるわけです。けれどもコンサルチームは、企画提案から、完成後も管理する立場で、ずっとサポートをしていきます。賃貸事業は資産運用の一部ですので、その後の資産管理や相続などもサポートしていきます。

 けれども、コンサルチームも、ずっとその後もサポートをするものの、契約内容によっても関わり方の頻度が違うでしょうし、客付け力のある賃貸管理会社は、組織で営業しているところが多いので、社員の移動もあることでしょう。

 このように、まわりの人たちの状況は変わりますので、誰かに全面的に任せておけば大丈夫だと安心はできないのです。

 だからこそ、賃貸住宅の所有者である大家さんが、自分の財産である土地や建物のことを一番よく理解しておいて頂きたいのです。賃貸事業を順調に稼働させるためには、所有者ご自身が賃貸住宅の設備、仕様や運営に必要なことを一番よく知って頂いていることが必要なのです。それは自ら行動するということでなくても、誰にどのような指示を出せばいいかということでも構わないのです。維持メンテナンスの提案に関しても建物の特徴や現状を理解した上で、最終的な判断をし、決断するのはご自分だからなのです。

ネーミングにもこだわりが必要

 自分の財産である賃貸住宅として、数々の工夫を凝らしているということが、賃貸事業を始めるときの理想ではないでしょうか。大家さんのこだわりや愛着は建物の中に形となって表現されているでしょうから、住み手もそれに共感できるようになります。

 その波長が賃貸事業を動かしていくものであり、成功への第一歩であると言えますが、建物の善し悪しは住んでいる人にしか体験できません。しかし、建物の存在自体は道行く人たちにも見てもらえるわけですから、外観の雰囲気は大事にしたいものです。

 そして、もう一つは、賃貸住宅の「名称」にもこだわりたいところです。建物の名称の付け方は自由ですので、選択肢はいくつもあるはずですが、多いのが、ハウスメーカーさんの商品名を名称としていることです。その名称で建築会社がわかるのですが、あちこちで同じ名称を耳にすることになりますので、差別化できなくなります。

 名称こそ、自分のこだわりやアィデアで付けられることをお勧めしたいのです。自分の子供が生まれたときは、誰もが本を買ったり、画数を調べたりして知恵を絞り、意味づけのできる名前を付けようと努力されるでしょう。自分の財産である建物ですから、たとえば子供のように考えたとすれば、名称にもこだわりたいところです。なにより、名称は入居者にとっても何度も書くことになり、とても身近なことになりますが、名称で主張でき、差別化できることでもあります。

“すぐに満室、ずっと満室”がキーワード

“すぐに満室”になる必勝法

賃貸住宅は建てているときは、まだ実感がわかないと思いますが、完成して、建築会社より引き渡しを受ければ、建築代金を払わなければなりません。そのときから、いよいよ賃貸事業がスタートするわけです。

引き渡しになってすぐにどんどん契約が終わり、入居が始まればいいことですが、入居の時期は入居者の都合により案外まちまちですから、家賃発生も引き渡しすぐに実現させることは実は、至難の業なのです。

しかし、こうした現状でも”すぐに満室”にできる秘訣はあります。それは、「早めに適正な賃貸条件や引き渡し日を決めて、早めに募集をすること」だと言えます。これを実現するためには、企画の段階から募集を想定していなければなりません。

今での賃貸住宅の多くは、完成して引き渡しが終わってから仲介会社や管理会社を探して依頼をし、それから入居者の募集を始めるようなことでしたので、当然後手後手になり、満室になるのは、完成後日数がかかるという現状でした。建物の規模や諸々の条件にもより違いますが、時期を逃せば数ヶ月程かかることにもなりかねません。その間、満室にならないうちに銀行の返済が始まってしまいますので、土地所有者にとってはスタートから多難となり、やっぱり賃貸は大変だと思うのも当然のことでしょう。

しかし、私がコンサルティングする事業は、建築工事が始まると同時に募集を始めると言ってもいい程で、本当に半年以上前から取りかかります。まだ現場は足場がかかり、コンクリートを流していたり、上棟していない時でも借りたいと申し込みをしてくれる希望者はあるのです。当然ながら、建築の開始時には管理会社も決定しています。

その時期の募集は、設備や内装の仕様書や間取り図、立面図、室内や外観パースと言った図面になりますが、それで入居者は判断ができてしまいます。

また、建設会社泣かせと言えますが、全部できて引き渡しが終わるまで待つとやはり後手後手になりますので、可能な限り、モデルルームとしてタイプ毎に早めに内装を仕上げてもらい、現実に見てもらえるように段取りをします。建物の中のモデルルームですから、引き渡しの1ヶ月や1ヶ月半前となりますが、期間は募集の仕上げをする時期であり、モデルルームを仕上げてもらうことはおおきな要因になります。

その他にも”すぐに満室”にする秘訣はいくつもありますが、いくつもの要素を組み合わせながら募集をしていくことで、私が手掛けた1Rから3LDK4タイプが混合する97戸のグローバルガーデンシティは引き渡し前に申し込みで満室となり、引き渡しの翌日から次々と引っ越しが始まったという実績があります。

“すぐに満室”にできる必勝法

以上はあげたことはまだ一部ですが、管理会社は引き受けることが決まればすぐに募集体制に入ります。満室になるまでの間は、全員の意識付けが必要ですから、定例会議をはじめとするいくつかの機会に参加をしてもらい、意思の疎通を図るとともに、引き渡しまでは申し込みのカウントダウンをしながら、状況に合わせていろいろな策を適切に打っていくことが必要で、そうした機動力や責任感のある管理会社だと実現はできないかも知れません。しかし、コンサルタントをはじめとてし、全員で実現していこうという意識を持つことで満室になったときや完成したきには全員の達成感が共有できます。大家さんの建物でも自分たちの作品のように大切な財産となります。

“ずっと満室”を保つ秘訣

賃貸住宅は木造では22年、鉄筋コンクリートでは47年が税務的な耐用年数だとされています。現実には、とっくに耐用年数を過ぎたものでも賃貸されていることは珍しくありません。入居したい借り手があれば、貸す方は願ってもないことです。

ところが、現在、多くの賃貸住宅には空室があり、頭を抱えている大家さんが少なくありません。家賃が入らないので収入が減ったということだけでも大きな打撃ですが、もっと深刻なことは、借入の返済をしなければならないわけですから、空きが多いと家賃収入よりローン返済の方が多く、持ち出し状態になるからだと言えます。

賃貸住宅の入居者にはいろいろな状況の変化があり、現実はずっと住み続けてもらうことは、これもまた簡単ではありません。賃貸住宅では入居者の入れ替わりはつきものです。 建物の耐用年数の22年、47年というのは、建物の躯体のことですから、室内の内装や設備はものによっては数年、長くても15年程度ですから、入居者が退去して室内のリフォームをすることは、建物のメンテナンスにはいいことであり、必要でもあります。

賃貸住宅に入れ替わりはつきものといえども、ローンの返済があれば、少なくともそれに足りるだけの収入は必要ですし、なるべく空室期間が短い方がいいわけです。

よって、”ずっと満室”も賃貸事業の重要なキーワードなのです。

では、”ずっと満室”を保つ秘訣があるのか、ということですが、1つにはスタートするときに、入居者が絞られず幅広く対応できる間取りや仕様にしておくことが上げられます。そして、「空き予定の連絡がくればすぐに募集に入る」、「退去すればすぐにリフォームを仕上げる」、「新築当時に劣らない内装を維持するだけのリフォーム投資を惜しまない」等、いくつものことを並行して取りかかることで実現できるのです。管理会社との意思の疎通も大切ですが、漫然としているのとは大きな違いがでてくると言えます。

“ずっと満室”を維持できる必勝法

管理会社の客付け力も大事

賃貸事業で一番大事なことは、常に入居者があり、理想は満室で稼働していることです。満室を実現し続けるために必要なことは、長く住んで頂ける入居者を探すことです。いまや賃貸物件を探す手段の主流が携帯電話やイタンーネットの情報の時代ですので、大家さん自らがHPを作成して、直に入居者に情報を提供することも可能な時代です。先端を行く大家さんは自分で入居者の募集もして、借り手を見つけてしまう方もあるほどです。

それでも、募集図面の作成や室内の内見など、契約に至るまでの業務も多々あるので、やはり仲介会社や管理会社と契約をして、募集を任せた方が安心でしょう。そうすれば、仲介会社や管理会社が大家さんの代わりに入居者を捜してくれるわけですから、十分に意思の疎通がはかれて、一生懸命動いてくれる会社を選択することです。その選択が賃貸事業の成功のカギをにぎることになります。

では、どういう基準で賃貸管理会社を選べばいいのでしょうか?

第一は、入居者を決める客付け力にすぐれていることです。賃貸住宅を探している人から見て、インターネット等から情報が拾いやすく、情報量が豊富で、こまめに物件情報が出されていることや、HPが公開されており、どのような会社かわかって安心感があり、親しみやすいことなど、いくつもの要素が必要でしょう。

全国のネットワークがある不動産会社等、だれでも知っている会社ということも安心感があり、情報力に優れていると言えます。

第二は、提案力があることです。入退去やリフォームについては、その都度打ち合わせをしながら進める必要があり、やりとりを円滑にして、少しでも早く入居者が入る状況を一緒になって作り出していく提案ができ、実行できることが大切なのです。意思決定は事業主である大家さんがすることですが、満室の状態にする手段や方法は、常に入居者と接している管理会社や不動産会社の提案やアドバイスがあってこそのことです。

第三は、こまめに管理をしてくれることです。毎月の家賃回収や管理を依頼している場合は、普段から意思の疎通が大切になります。こまめに動いてくれることは、賃貸住宅の維持管理についても提案があったり、サポートしてくれることが期待できますので、安心だと言えます。その会社の管理の形態や管理戸数の実績などにより判断するようにします。

しかし、既存の物件は1ヶ月から2ヶ月前に解約の申し出があり、はじめて募集物件になるわけです。空きのロスを無くすためには、明け渡しが済む前に大家さんと相談をして募集の情報を出さなければなりませんが、対応が遅い会社であれば、空いてしまってから、あるいはリフォームを済ませてからの募集になります。ここでの違いが大きいことはおわかりでしょうが、新築の賃貸住宅も同じことが言えます。完成してから募集をするという姿勢であれば、後手後手になりかねません。計画段階から管理会社を選定して、完成前に募集をスタートできるようにしたいものです。

賃貸事業の経営者だという認識が必要

賃貸事業は、最初に賃貸住宅を建てなければ始まりません。そこで、まず賃貸住宅を建てることからスタートするのですが、少しずつ資金を出していけばいいということではなく、最初に賃貸住宅分の資金を出してしまわなければなりません。それが自己資金であれ、借入であれ、大家さんは賃貸事業に投資することになります。その投資額は少なくても千万円単位、大きいと億単位のものですから、かなりの大事業と言えます。

建物は木造でも20年以上、鉄筋コンクリートだと50年以上も維持できるのですから、大きな金額を借り入れるものの、それが一度に無くなるものではないので、普通の事業や株などに比べると、むしろ不安は少ないのが賃貸事業なのです。

それでも千万単位、億単位の建築費をかけますので、スタートするときの収支バランスに余裕があることや幅広い年代層に受け入れられる部屋作りをするというようなコンセプトを間違わないことが必須となります。

皆が知恵を絞った賃貸住宅が完成し、”すぐに満室”、”ずっと満室”が実現して、経営が安定すれば、借入により投資した資金は、順調に返済ができます。それでも、なるべく借入は少なくしたいところながら、他の賃貸住宅と差別化しながら、適正な家賃をもらうためには、安く造ることにこだわると競争力に欠けることになりかねません。入居者を満足させるためには、時代のニーズにあった設備や付加価値が必要であり、そのために費用をかける決断が大事になります。

部屋を貸すことは、直接物を売る販売業などとは違って、常に入居者と接するわけではないので、「賃貸業」という意識は少ないかも知れません。しかし、入居者から家賃という対価を受け取る以上はれっきとした事業であり、入居者はお客様ということになります。

賃貸業では、お客様である入居者が入らなければ成り立ちません。以前の貸し手市場のように、「貸してやっている」という殿様商売では通用しなくなりました。今や借り手市場ですから、大家さんの方が入居者や時代のニーズを理解し、研究して、賃貸業に生かさなければなりません。

賃貸事業は、提案を受けたときから助走が始まっています。意思決定から始まり、建てている間のさまざまな場面での選択や決断をする毎に賃貸事業への自覚も出てくることとなります。建物が完成して引き渡しが終わり、「満室になってやれやれ、一段落」と思いたいところですが、実は、そこからが本当の賃貸事業のスタートとなります。

こうした長期事業を決断し、自分の判断で経営を乗り切ることは並大抵ではありません。だからこそ、自分の味方になってくれるコンサルチームを選択し、協力を得ながら賃貸事業を運営する覚悟が必要になります。

なにより、経営者としての認識を持つことが事業の成功のカギだと言えます。

土地活用コンサルタント×不動産会社の「コンサルチーム」が目指すこと

余裕がある収支計画でスタートする

収支が合うことが絶対条件

 土地を残しながら節税対策をするためには、賃貸住宅を建てて貸すことが節税対策となります。それだけに、空き地があれば「借入をして賃貸住宅を建てましょう」という提案をされることになります。確かに、相続になったときに建築資金の借入が残っているのであれば、プラス財産から差し引くことができるため、節税効果は得られます。
 しかし、賃貸事業の目的が相続税の節税対策のためだとしても、相続はいつになるかわかりません。けれども建築費の借入期間は30年ほどもあり、鉄筋コンクリートの建物を建てた場合は50年位は持ちますので、とにかく長丁場なのです。
 そうした賃貸事業の前提となるのは、収支が合うことだと言えます。収支の見極めが甘いと、空室が増えると家賃収入が返済を下回り、足りない分は自己資金を補填しなければならない事態になります。これでは何のための賃貸事業かと思いたくなるでしょう。
 そうしたリスクを想定すると、賃貸事業として収支バランスが取れるようなバランスをみてスタートしておく必要があると言うことです。「借金しておけば相続対策」は、過去の話です。

利回りよりも手取り

 投資物件の場合、年間の家賃収入を購入する金額で割った数字を表面利回りといい、判断材料となります。たとえば、月額5万円のワンルーム8世帯のアパートがあれば年間の家賃は480万円です。そのアパートを4000万円で購入する場合、表面利回りは12%だとなり、投資効果を利回りという数字で判断します。
 しかし、もともと土地がある場合は建築資金を借り入れる場合がほとんどですので、家賃収入から建築費の借入返済や管理費を引いた「手取り」で考えるほうが現実的です。そのときに目安している手取りの基準は、家賃収入の半分程度です。
 たとえば、45㎡(13.6坪)の1LDKを10世帯建てるとし、建築費は9000万円、諸費用を含んで総事業費の1億円を全額借入したとします。家賃は地域により違いますが、1世帯8万円だとすると事業収支は次のような計算になります。

  • 家賃収入  800,000円
  • 借入返済  369,619円(46.2%)借入期間30年利率2%元利返済金
  • 管理費    42,000円(5%+税)
  • 月額手取り 388,381円(48.5%)

これは月額収支の目安であり、ここから固定資産税や修繕費、清掃費、設備のメンテナンス費用等がかかりますが、まずは事業計画を立てるときの基準とします。

安定経営の範囲

 賃貸事業のシミュレーションは、実は、決まった基準がありません。それぞれの提案者が独自に条件を想定して作成していますので、同じ土地にしても提案する人によって違うのが現状でしょう。家賃をどう想定するのか、建築費をどう想定するのか、その他の事業費をどう想定するのか、などで変わってきます。
 またシミュレーションは30年でも35年でも出せますので、毎年の税引き後の手取り計算もできますが、これもまた、その間の家賃をどう想定するか、空室率をどう想定するか、金利をどう想定するか、修繕費をどう想定するか、固定資産税をどう見るか、などにより、ほんとうにさまざまです。
 また、融資をする金融機関に言わせれば、現実にスタートする融資の利率は1%台であっても計画上は、「6%の金利時に80%の入居率で採算が合わなければいけない」というような念には念を入れた上で判断するというところもある程です。
 この金融機関の審査基準を逆手に取り、画に描いた餅のごとく、見栄えのいいシミュレーションを作成することはたやすいことだと言えますが、実際には募集する家賃や建築費は現実の相場があるわけですから、見せかけのシミュレーションよりもスタートする時の現実の収支のバランスにこだわって事業計画を組み立てます。
 たとえば、前記の収支計画で建築費が1億2000万円になる場合、それに準じて家賃があがれば変わりませんが、家賃がそのままの場合、下記のように変わります。

  • 家賃収入  800,000円
  • 借入返済  443,543円(55.4%)借入期間30年利率2%元利返済金
  • 管理費    42,000円(5%+税)
  • 月額手取り 314,457円(39.3%)

建築費が1億5000万円になる場合、下記のように変わります。

  • 家賃収入  800,000円
  • 借入返済  554,428円(69.3%)借入期間30年利率2%元利返済金
  • 管理費    42,000円(5%+税)
  • 月額手取り 203,572円(25.44%)

 事業費が増えると借入金が増え、返済が増えることで、自ずと手取額が減ることになります。固定資産税の納付や修繕費の支出や積み立てを考えると、なるべく多く手元に残ることが望ましいことですが、家賃の半分から6割くらいまでに返済を押さえるほうが安心できます。そうしたバランスから建築費や借入額を決めていくようにします。

どこで余裕をつくるのか

 前記のように、仮に建築費が2000万円あがる場合、その2000万円の内容の設備や仕様がよくなることであれば、家賃を上げることになりますので、問題はありません。2000万円分の返済額は73,627円ですから、1世帯当たり月額7362円増える分を家賃に上乗せして、87362円の家賃収入が得られるのであれば、最初の収支バランスと変わりません。ならば、たいした問題ではないかというと、実はこの論理はかなり難しいことなのです。家賃の決め方に決まりはないので、入居者が納得して払ってくれるのであれば9万円でも10万円でもいいのですが、そう簡単にはいきません。
 家賃の決め方の目安は、部屋の面積と間取りが一つの基準となり、次に立地、環境、室内のグレードという順ですので、建築コストがそのまま家賃に反映されるとは限りません。そうなると、家賃に反映されない2000万円のコスト増は、単に手取りの減額へとつながるということです。
 こういう場合にこだわることは、あくまで適正な収支バランスを保つために、建築コストを削減する余地がないか検討し、グレードを落とさないような方法で収支バランスを戻すことです。
家賃はできるだけ堅めに想定して、無理なく入居者に選択してもらえる範囲を死守するようにします。そして、計画中には簡単に上げて調整をとることをせず、建築費を含めた事業費を徹底的に見直しすことで、適正で安全な収支バランスを目標として帳尻を合わせていく作業を優先するようにします。
 それは、単に建築費を値引きして帳尻を合わせるということではなく、目指すグレードを落とさないでコンサルチームの提案する収支バランスを目標とし、設計会社や建築会社が知恵を出し合うことです。
 たとえば、設備のメーカーを変えることで予定していた製品と同程度のものをつけられることもあるかもしれません。あるいは、見映えは変わらない程度のものに変えることでもいいかもしれません。このような細部にわたる内容で検討を重ねます。
 この作業は、賃貸住宅のグレードに影響しない範囲で行うことが目的ですから、収支計画どおりのバランスを保つことができ、事業の余裕を生み出すポイントになります。

オーダーメイドの感覚で資産価値を高める

◇コンセプト作りのポイント

 賃貸住宅を建てる場合には、コンセプト作りが必要です。コンセプト作りのポイントとなることは、間取り、家賃、設備の3点です。その上で、周辺の環境や立地などから、建てる 賃貸住宅の特徴を定めるようにします。
賃貸住宅を探す人の条件の順番は、①家賃、②間取り、③設備、④駅 ⑤周辺環境、がおおよそのところです。それを踏まえてコンセプト作りをするようにします。

1.競合しない間取りの選択

 数が多いところに参入するよりも、「ニーズがあるけれどもまだ少ない間取り」を選択していった方が確実で成果があげられます。立地や環境によりさまざまですので、まずは周辺の既存物件の調査をして、どういう間取りが適切か判断します。
 さらには、より多くの入居者のニーズがある間取りを選択していくならば、「1人でも、夫婦でも、子供がいても住める間取り」にすることが必要です。また、分譲マンションの購入派と競合しないためにも、賃貸住宅では、”狭すぎず、広すぎず”の間取りにしておくことがいいと考えます。
 かつては、相続対策用で建てる賃貸住宅といえば、単身者用のワンルームが主流でした。しかも、なるべくコンパクトにして、戸数を増やすようにしたため、トイレ、バス、洗面が一体となったビジネスホテルのような20㎡もない部屋もありました。けれども、現在では、そうしたワンルームを選択する入居者は少ないと言えます。
 こうした理由から、提案する場合の多くは、30㎡以上のワンルームから、45㎡程度の1LDKと70㎡以下の2LDKが主流になります。

2.最初に家賃を想定する

 その土地がある地域により、家賃の相場があり、理想的な設備をつけて高い家賃設定にしても苦戦することもあります。そこを戦略的に、今までにない物件なので、高くても入居者を見つけることは可能という判断もあります。あるいは、周辺の家賃相場を踏まえた上で同等の家賃で設備仕様がいいものをつくり、入居者の選択を優位にしようという考えもあります。
 前述の間取りと家賃の選択やバランスは、いくら机上で描いていても始まりません。私はコンセプト作りの段階で既に客付けを想定し、現実に賃貸管理会社の意見を盛り込んで提案するようにしています。とりあえず建ててしまって、家賃や管理会社はあとから決めることでは後手後手となり、いい時期やタイミングを逃すこともあるかもしれませんので、コンセプト作りやその後の手順や段取りが、その後の賃貸事業の命運を分けると言っても過言ではありません。

3.入居の時期にはこだわる

 賃貸住宅が一番必要となる時期は、1月から3月までの入学、入社など移動の時期です。学校の区切りの卒業、入学時期に合わせて多くの人が住まいを移し、入社や転勤など仕事の都合でも住まいが変わることになります。中には、勤務地が変わるので早急に探す場合もありますが、多くは何ヶ月か前の予定で探し始めることでしょう。結婚や就職、入学が決まれば、早めに探して落ち着きたいところです。
 逆に貸す立場から考えれば、早めに決めておいてもらうには、まず募集する管理会社を決めることが先決ですが、早めに家賃や共益費などの募集条件、入居の時期を決めてしまって選択のテーブルに載せるようにしてしまうことが必要であり、さらには入居を多くの人が検討してくれる確実な時期にしておくことが必要だということです。
 提案する側にとって一番いい時期は、入居が1月から3月半ばが最適だと考えていますので、その時期を想定した上で逆算しながらスケジュールを組むようにしています。事業の状況によっては、完成が最適な時期にならないこともありますが、できる限りはいい時期に完成させることが鉄則です。

4.絶対はずせない設備・仕様はこれ

 株式会社リクルート住まいカンパニーが、21C住環境研究会と共同行っている「首都圏賃貸住宅市場における入居者ニーズと意識調査2012-2013」では下記の結果が出ています。
 調査対象は、2012年9月~2013年3月に首都圏の賃貸物件に賃貸契約を行った人で、
ひとり暮らし791人、ふたり127人、ファミリー219人、全体1137人が回答者です。

●多少家賃が上がっても欲しいサービス・設備
 1位「24時間ゴミだし可能」(41.1%)、2位「宅配ボックス」(28.4%)、3位「防犯カメラ」(24.3%)。
●お金を払ってでも受けたいと思うサービス
 1位「プロバイダサービス」(33.0%)、2位「ゴキブリ・ダニなどの防虫駆除サービス」(30.3%)、3位「クリーニング受付サービス」(25.8%)。
●住まいに最初からついておいて欲しい設備・仕様
 1位「壁掛け薄型TV」(16.9%)、2位「洗濯機」(15.4%)、3位「乾燥機」(15.2%)。
●エコ設備の認知と需要
 1位「LED照明」(70.6%)、2位「断熱サッシ」(59.5%)、3位「窓に遮熱フィルム」(57.4%)。

 どの程度の設備や仕様にすればいいのかは、事業費や間取りやコンセプトによりさまざまですので一概には決められませんが、仮にあげるとすれば次のような項目になるのではないでしょうか。

<絶対必要>
・エアコン・追い焚き機能付きバス・TVドアホン・ピッキング対応キー・シャッターもしくは雨戸・広い収納・バストイレ別・独立洗面所・インターネット対応
<できればつけたい>
・シャンプードレッサー・ウォシュレット・ウォームレット・システムキッチン・カウンターキッチン・BS・CS・CATV・オートロック・宅配ボックス・人感センサー(玄関)
・敷地内駐車場・24時間緊急対応

5.とくにアピールできるウリを決める

<これはまだ差別化>
・IHクッキングヒーター・食器洗浄機・ウォークインクローゼット・床下収納・浴室換気暖房乾燥機・浴室TV・大型ユニットバス・人感センサー(玄関)
<理想はこれも>
・オール電化・床暖房・浄水器・ディスポーザー・ミストサウナ・浴槽内残り湯を、洗濯 給水へ電源一つで出来る給水設備・バルコニー側への浴室配置・角部屋のルーフバルコニー
・可動式収納・引き戸・建物全体のバリアフリー化・セキュリテイー完備・1階専用庭・ 強化ガラス・ペット共生型

分譲マンションにも劣らないグレード

 いままでの賃貸住宅では、「住宅を買えない人が借りる」というイメージがありましたが、明らかに賃貸事情は変化をしています。いまや「買えない」のでなく、「買わない」選択をする人が増えているということです。
 「家を持つこと」は夢でもあこがれだった時代がすぎ、自宅を購入することは「収益を生まない不動産に投資するリスク」とまで言われているほどなのです。この傾向はますます増大すると予想され、「投資するのは利益を生む収益物件や株であり、自宅は自由に選択できる賃貸」という人たちは増えていくだろうと思われます。

 そうした賃貸派が賃貸需要を作っていくことを想定した場合、いままでのプレハブ住宅のようなありきたりの賃貸アパートで満足するはずがありません。これからの賃貸住宅のポイントは、そうした賃貸派の選択眼をとらえられるだけの「分譲マンション並のグレード」が必要だということです。
 目指すところは、「分譲マンションにも劣らない、グレードの高い賃貸住宅を、安いと思えるくらいの適正な家賃設定により供給し、満足して長く住んでもらうこと」にあります。そのバランスを作り出すもとになるのは、「分譲マンションにも劣らないグレードの高い賃貸住宅を作るセンス」と、「建築事業費を、グレードを落とさないように工夫をしてなるべく安くおさえる見極めをすること」にあります。

オーダーメイドの醍醐味

 もうひとつの目標は、「できるだけオーダーメイド」を目指すことです。ハウスメーカーの既製品である「商品」ではなく、所有する土地や立地や環境や自分のこだわりに応じて、オリジナリティを出した賃貸住宅にしておくことが大事です。個人の住宅で言えば「建て売り住宅」ではなく、「注文住宅」というところでしょうか。
 建て売りより注文住宅の方が手間がかかることは当然ですので、価格が高くても納得できるところでしょう。それを賃貸住宅にあてはめた場合も同様で、「できるだけオーダーメード」にすると、既製品の賃貸住宅よりもコストがかかることもあるでしょう。
 賃貸住宅にも「できるだけオーダーメード」がいいのは、ありふれた既製品の賃貸住宅と差別化できることです。手間と労力がかかりますが、その分、作り手のこだわりや工夫が、住み手にも伝わり、なんとなくぬくもりのある部屋になります。
 こうして大家さんとコンサルチームが知恵を絞って取り組むことで、納得のいく賃貸住宅が建てられるというものですが、これはいくらでも費用をかけていいものを作ることではありません。
 収支のバランスが取れる範囲を見極めた上で、建築コストを決めますので、大きな予算を使えない場合は、部分的に、「少しだけオーダーメード」になることもあるでしょう。それでも、少なくとも「商品」とは違う、オリジナルの建物になるということです。

自分が住みたい部屋にする

 賃貸住宅を建てるということは、賃貸事業を始めることですので、「家賃を払ってもらえる空間作り」が必要です。賃貸住宅は、以前のように「安かろう、悪かろう」では数ある競合物件の中で選択してもらえないということもあります。
 では、どうすればいいかというと、ひとつの基準とすれば、自分が住んでもいいくらいの部屋作りをしておくことを目指すようにします。そうした視点で賃貸住宅作りをすることで、いろいろな工夫やアイデアが出てはずで、愛着がわくのです。どうせ賃貸するので、自分は関係なし、建築会社にの言うとおりにお任せ、ということでは、建築会社が去ってしまった賃貸事業の長丁場を乗り切れるかどうか、不安ではないでしょうか。
 賃貸事業は20年、30年、あるいはそれ以上と長丁場になりますので、自分の感覚を活かし、コンサルチームのアドバイスも盛り込み、競合を勝ち抜く賃貸住宅作りをしておけば、長い賃貸事業のスタートとしては安心ではないでしょうか。
 これからの賃貸住宅経営は、賃貸だからこの程度でいいという感覚は捨てて、「賃料収入を生む財産」として、それなりの投資をしなければ維持できないと考えます。その結果、自分が住んでもいいくらいの部屋にしておくことが必要だと言えるのです。

一番のセールスポイントはなにか

 目指すところは、「分譲マンションにも劣らない、グレードの高い賃貸住宅を、安いと思えるくらいの適正な家賃設定により供給し、満足して長く住んでもらうこと」です。
賃貸住宅としてアピールし、その存在価値を高めるためには、もっとわかりやすい、数ある物件の中でも差別化できる「セールスポイント」があることは絶対的な強みになります。 「セールスポイント」は、大家さんやコンサルチームのこだわりによって創り出すようにしますが、賃貸住宅つくりに大きく影響をしますので、大事なことだと言えます。
 事例をあげると、「プレシェルト壱番館」は間取りや仕様やカラーなど3つのテイストを作り、フロアーによってテイストを分けるようにしました。間取りも少しずつ違うものにし、好みによって選択してもらえるようにしました。
 「プレシェルト弐番館」は最上階をメゾネットにして開放感をもたせました。土地の高低差を利用した半地下の部屋を持つタイプや角部屋をワンルームとし、他は1LDから2LDKのバリエーションも作り、プライベートガーデンとしてイングリッシュガーデンも設置しました。
 それぞれの特徴が最大のセールスポイントになっていい意味で主張する賃貸住宅になっています。それぞれの物件毎に特徴となるものを決めて、差別化することで、アピールできる、主張する賃貸住宅を仕上がっているのです。


理想はこんな賃貸住宅!

 賃貸住宅作りのテーマは、「分譲マンションにも劣らない、グレードの高い賃貸住宅を、安いと思えるくらいの適正な家賃設定により供給し、満足して長く住んでもらうこと」
です。今までの一般的な認識では、賃貸マンションよりも分譲マンションの方が設備や仕様がいいというイメージがありました。
 果たしてそうなのか、どこが違うのかと考えてみましたが、当然、賃貸よりは分譲の方が全体の戸数や敷地が大きいので管理体制は整っていると言えますが、室内の設備や仕様はほとんど変わりはなく作れるわけです。実際、賃貸であっても分譲よりも間取りや空間の取り方やがよかったり、住みやすかったりすることがあるはずです。また、こだわりによって分譲よりも心地よい住環境を作ることもできるでしょう。
 ならば何でも最高級の設備・仕様にしてしまえば簡単なことですが、事業収支のバランスを考えないといけないことが大前提で忘れてはなりませんが、それでもこうした賃貸住宅を作りたいという理想をもっていることは大事なことだと考えています。その上で、事業収支との兼ね合いをつけていくことになりますが、理想をあげてみたいたと思います。

<理想の賃貸住宅>
  • ・位 置・・・南に面している部屋が多く取れる建物配置であること
  • ・間取り・・・各部屋にバルコニーがあり、十分な採光が取れること
           リビングよりも各居室が広く、それぞれにゆったりした収納がある
  • ハイサッシ、天井の高さ、ロフトなどで開放感があること
  • 風通しがよく、換気・除湿にも優れていること
  • ・設備・仕様・・・室内はバリアフリー、各部屋の入り口は引き戸としたい
  • 各部屋にインターネット設備や多めのコンセントがあること
  • シックハウス対策のある健康に配慮した素材であること
  • 生活水として適していること、または浄水器を完備すること
  • 給排水や照明の設備は利用しやすく、手入れや清掃が楽なこと
  • 防犯上、エントランス、玄関、窓等の設備が安心であること
  • ペットも同居できる間取り、仕様であること
  • 上下階、各部屋の遮音に優れていること
  • ・共用部分・・・駐車場、駐輪場、バイク置き場が必要台数分あること
  • ・外 観・・・・高級感があり、年数を重ねても劣化しないこと
  • ・全 体・・・満足度の高いグレードであるのに安いと思える家賃設定であること
  •  

自分も参加して愛着のある賃貸住宅を建てる

自分の財産作りで夢を持ちたい

 コンサルチームのご提案では、大家さんも一緒になって賃貸住宅を作り上げる過程に参加してもらうようにしています。賃貸住宅を作る過程では、いろいろな苦労やアクシデントもありますので、そうした過程や試行錯誤も共有しながら工事期間を体験して頂くことで、煩わしさはあるものの自分の子供のように、愛着を持って頂きたいと思うからです。 賃貸住宅は、納税対策や節税対策や家賃収入を得る手段だとして取り組まれる場合、煩わしいことはしたくないと思われるかもしれません。建ててしまえば他人に貸すので、それ以上のことは考えなくてもいいのではないかという気持ちもあるかもしれません。

 しかし、それで済ませてしまうには、賃貸事業は長く、投資額も大きいわけですから、残念なことではないかと思えるのです。コンサルチームが、その大変さを夢や楽しみに変えるお手伝いをし、価値を見いだせて有意義な体験になるサポートをしていきます。

 このような思いもあり、賃貸住宅を作り上げていく作業によりオーダーメイドとしての資産価値を高めていくのです。関係者の誰もが自分の作品というプロ感覚でアイデァを出しますので、大家さんとしてもだんだんと愛着が出て、賃貸事業に取り組む覚悟もでき、夢を持てるようになるのだと考えています。

自分で作ってこそ価値が出る

 ご自分が住む家を建てるとなればいろいろとこだわりがあり、ああしたい、こうしたいという希望がでてきます。高い建築費を払って、長く住むつもりで建てるはずですし、一生に一度かもしれない終の棲家になるかと思うと、こだわりがあるのは当然のことです。そうして建てた自宅にはやはり毎日生活をしている中で愛着がわき、長く維持していきたいと思うことでしょう。

 ところが、賃貸物件となると、なにもかも建築会社の営業マンに任せてしまうことが多いように見受けられます。中にはろくに間取りも見ていないという人もあるかも知れません。完成して引き渡しのときに見た程度で、そのあと、入退去があったとしても賃貸管理会社に任せてしまうこともめずらしくはありません。

 同じ自分の財産であってもこうした違いがあることは少なからず現実のことです。賃貸住宅に対して愛着がわかないのは、自分が住んでいるわけてではないからということも言えますが、建てるときに任せてしまったということも考えられるのではないでしょうか。

 賃貸住宅も自分で建てた財産ですから、少なくても20数年、長ければ数十年以上も財産として長く所有する建物になるわけです。それであれば、自分のこだわりを生かして建てた満足感があり、さらに周辺の町並みにも調和した建物であれば、自ずと資産価値があるものなるのではないでしょうか。

自分が一番よく知っているという自信

 設計会社や建築会社は、建物が完成し、引き渡しが終わると仕事が終わります。あとはアフターケアや修繕のときしか用がなくなるわけです。けれどもコンサルチームは、企画提案から、完成後も管理する立場で、ずっとサポートをしていきます。賃貸事業は資産運用の一部ですので、その後の資産管理や相続などもサポートしていきます。

 けれども、コンサルチームも、ずっとその後もサポートをするものの、契約内容によっても関わり方の頻度が違うでしょうし、客付け力のある賃貸管理会社は、組織で営業しているところが多いので、社員の移動もあることでしょう。

 このように、まわりの人たちの状況は変わりますので、誰かに全面的に任せておけば大丈夫だと安心はできないのです。

 だからこそ、賃貸住宅の所有者である大家さんが、自分の財産である土地や建物のことを一番よく理解しておいて頂きたいのです。賃貸事業を順調に稼働させるためには、所有者ご自身が賃貸住宅の設備、仕様や運営に必要なことを一番よく知って頂いていることが必要なのです。それは自ら行動するということでなくても、誰にどのような指示を出せばいいかということでも構わないのです。維持メンテナンスの提案に関しても建物の特徴や現状を理解した上で、最終的な判断をし、決断するのはご自分だからなのです。

ネーミングにもこだわりが必要

 自分の財産である賃貸住宅として、数々の工夫を凝らしているということが、賃貸事業を始めるときの理想ではないでしょうか。大家さんのこだわりや愛着は建物の中に形となって表現されているでしょうから、住み手もそれに共感できるようになります。

 その波長が賃貸事業を動かしていくものであり、成功への第一歩であると言えますが、建物の善し悪しは住んでいる人にしか体験できません。しかし、建物の存在自体は道行く人たちにも見てもらえるわけですから、外観の雰囲気は大事にしたいものです。

 そして、もう一つは、賃貸住宅の「名称」にもこだわりたいところです。建物の名称の付け方は自由ですので、選択肢はいくつもあるはずですが、多いのが、ハウスメーカーさんの商品名を名称としていることです。その名称で建築会社がわかるのですが、あちこちで同じ名称を耳にすることになりますので、差別化できなくなります。

 名称こそ、自分のこだわりやアィデアで付けられることをお勧めしたいのです。自分の子供が生まれたときは、誰もが本を買ったり、画数を調べたりして知恵を絞り、意味づけのできる名前を付けようと努力されるでしょう。自分の財産である建物ですから、たとえば子供のように考えたとすれば、名称にもこだわりたいところです。なにより、名称は入居者にとっても何度も書くことになり、とても身近なことになりますが、名称で主張でき、差別化できることでもあります。

“すぐに満室、ずっと満室”がキーワード

“すぐに満室”になる必勝法

賃貸住宅は建てているときは、まだ実感がわかないと思いますが、完成して、建築会社より引き渡しを受ければ、建築代金を払わなければなりません。そのときから、いよいよ賃貸事業がスタートするわけです。

引き渡しになってすぐにどんどん契約が終わり、入居が始まればいいことですが、入居の時期は入居者の都合により案外まちまちですから、家賃発生も引き渡しすぐに実現させることは実は、至難の業なのです。

しかし、こうした現状でも”すぐに満室”にできる秘訣はあります。それは、「早めに適正な賃貸条件や引き渡し日を決めて、早めに募集をすること」だと言えます。これを実現するためには、企画の段階から募集を想定していなければなりません。

今での賃貸住宅の多くは、完成して引き渡しが終わってから仲介会社や管理会社を探して依頼をし、それから入居者の募集を始めるようなことでしたので、当然後手後手になり、満室になるのは、完成後日数がかかるという現状でした。建物の規模や諸々の条件にもより違いますが、時期を逃せば数ヶ月程かかることにもなりかねません。その間、満室にならないうちに銀行の返済が始まってしまいますので、土地所有者にとってはスタートから多難となり、やっぱり賃貸は大変だと思うのも当然のことでしょう。

しかし、私がコンサルティングする事業は、建築工事が始まると同時に募集を始めると言ってもいい程で、本当に半年以上前から取りかかります。まだ現場は足場がかかり、コンクリートを流していたり、上棟していない時でも借りたいと申し込みをしてくれる希望者はあるのです。当然ながら、建築の開始時には管理会社も決定しています。

その時期の募集は、設備や内装の仕様書や間取り図、立面図、室内や外観パースと言った図面になりますが、それで入居者は判断ができてしまいます。

また、建設会社泣かせと言えますが、全部できて引き渡しが終わるまで待つとやはり後手後手になりますので、可能な限り、モデルルームとしてタイプ毎に早めに内装を仕上げてもらい、現実に見てもらえるように段取りをします。建物の中のモデルルームですから、引き渡しの1ヶ月や1ヶ月半前となりますが、期間は募集の仕上げをする時期であり、モデルルームを仕上げてもらうことはおおきな要因になります。

その他にも”すぐに満室”にする秘訣はいくつもありますが、いくつもの要素を組み合わせながら募集をしていくことで、私が手掛けた1Rから3LDK4タイプが混合する97戸のグローバルガーデンシティは引き渡し前に申し込みで満室となり、引き渡しの翌日から次々と引っ越しが始まったという実績があります。

“すぐに満室”にできる必勝法

  • 1.管理会社をできるだけ早く決めること。できれば最初からが望ましい。
  • 2.建築工事が始まると同時に募集を始めて予約を受け付けること。
  • 3.現場にはできるだけ早く募集看板をつけること。
  • 4.できるだけ早く名称を決め、募集資料やパンフレットを作成すること。
  • 5.ネット上で募集条件や申し込み状況をオープンにすること。
  • 6.完成まではパース、設備資料等の説明資料を準備すること。
  • 7.引き渡し前1ヶ月前には現地モデルルームをオープンし、見学会も開催すること。
  • 8.3ヶ月前当たりから申し込みのカウントダウンを始める。
  • 9.反響がよくない場合は周辺の業者さんにもfax営業等で協力を依頼する。
  • 10.引き渡し1ヶ月前にまだ満室にならない場合は緊急措置として仲介料サービス等の策を講じる。
    最悪の場合は家賃の見直しも視野に入れていろいろいな方策を早急に打つこと。

以上はあげたことはまだ一部ですが、管理会社は引き受けることが決まればすぐに募集体制に入ります。満室になるまでの間は、全員の意識付けが必要ですから、定例会議をはじめとするいくつかの機会に参加をしてもらい、意思の疎通を図るとともに、引き渡しまでは申し込みのカウントダウンをしながら、状況に合わせていろいろな策を適切に打っていくことが必要で、そうした機動力や責任感のある管理会社だと実現はできないかも知れません。しかし、コンサルタントをはじめとてし、全員で実現していこうという意識を持つことで満室になったときや完成したきには全員の達成感が共有できます。大家さんの建物でも自分たちの作品のように大切な財産となります。

“ずっと満室”を保つ秘訣

賃貸住宅は木造では22年、鉄筋コンクリートでは47年が税務的な耐用年数だとされています。現実には、とっくに耐用年数を過ぎたものでも賃貸されていることは珍しくありません。入居したい借り手があれば、貸す方は願ってもないことです。

ところが、現在、多くの賃貸住宅には空室があり、頭を抱えている大家さんが少なくありません。家賃が入らないので収入が減ったということだけでも大きな打撃ですが、もっと深刻なことは、借入の返済をしなければならないわけですから、空きが多いと家賃収入よりローン返済の方が多く、持ち出し状態になるからだと言えます。

賃貸住宅の入居者にはいろいろな状況の変化があり、現実はずっと住み続けてもらうことは、これもまた簡単ではありません。賃貸住宅では入居者の入れ替わりはつきものです。 建物の耐用年数の22年、47年というのは、建物の躯体のことですから、室内の内装や設備はものによっては数年、長くても15年程度ですから、入居者が退去して室内のリフォームをすることは、建物のメンテナンスにはいいことであり、必要でもあります。

賃貸住宅に入れ替わりはつきものといえども、ローンの返済があれば、少なくともそれに足りるだけの収入は必要ですし、なるべく空室期間が短い方がいいわけです。

よって、”ずっと満室”も賃貸事業の重要なキーワードなのです。

では、”ずっと満室”を保つ秘訣があるのか、ということですが、1つにはスタートするときに、入居者が絞られず幅広く対応できる間取りや仕様にしておくことが上げられます。そして、「空き予定の連絡がくればすぐに募集に入る」、「退去すればすぐにリフォームを仕上げる」、「新築当時に劣らない内装を維持するだけのリフォーム投資を惜しまない」等、いくつものことを並行して取りかかることで実現できるのです。管理会社との意思の疎通も大切ですが、漫然としているのとは大きな違いがでてくると言えます。

“ずっと満室”を維持できる必勝法

  • 1.退去連絡がくれば、すぐに募集を開始してくれる管理会社を選択する。
  • 2.募集はインターネットで幅広くしていること。
  • 3.物件の写真や画像がインターネットで公開されていること。
  • 4.退去時のリフォーム期間にロスがないような手配をすること。
  • 5.退去時には室内をきちんとリフォームして劣化させないこと。
  • 6.必要により、設備を補充すること。(カードキーの導入、光ファイバーの導入など)
  • 7.住むために快適な環境が保たれていること。(ゴミ置き場や共用スペースがきれい)
  • 8.外壁等も定期的に修繕し、見た目もきれいにすること。
  • 9.清掃や設備点検などが定期的に行われていること。
  • 10.管理会社がいろいろな提案をしてくれるところであること。

管理会社の客付け力も大事

賃貸事業で一番大事なことは、常に入居者があり、理想は満室で稼働していることです。満室を実現し続けるために必要なことは、長く住んで頂ける入居者を探すことです。いまや賃貸物件を探す手段の主流が携帯電話やイタンーネットの情報の時代ですので、大家さん自らがHPを作成して、直に入居者に情報を提供することも可能な時代です。先端を行く大家さんは自分で入居者の募集もして、借り手を見つけてしまう方もあるほどです。

それでも、募集図面の作成や室内の内見など、契約に至るまでの業務も多々あるので、やはり仲介会社や管理会社と契約をして、募集を任せた方が安心でしょう。そうすれば、仲介会社や管理会社が大家さんの代わりに入居者を捜してくれるわけですから、十分に意思の疎通がはかれて、一生懸命動いてくれる会社を選択することです。その選択が賃貸事業の成功のカギをにぎることになります。

では、どういう基準で賃貸管理会社を選べばいいのでしょうか?

第一は、入居者を決める客付け力にすぐれていることです。賃貸住宅を探している人から見て、インターネット等から情報が拾いやすく、情報量が豊富で、こまめに物件情報が出されていることや、HPが公開されており、どのような会社かわかって安心感があり、親しみやすいことなど、いくつもの要素が必要でしょう。

全国のネットワークがある不動産会社等、だれでも知っている会社ということも安心感があり、情報力に優れていると言えます。

第二は、提案力があることです。入退去やリフォームについては、その都度打ち合わせをしながら進める必要があり、やりとりを円滑にして、少しでも早く入居者が入る状況を一緒になって作り出していく提案ができ、実行できることが大切なのです。意思決定は事業主である大家さんがすることですが、満室の状態にする手段や方法は、常に入居者と接している管理会社や不動産会社の提案やアドバイスがあってこそのことです。

第三は、こまめに管理をしてくれることです。毎月の家賃回収や管理を依頼している場合は、普段から意思の疎通が大切になります。こまめに動いてくれることは、賃貸住宅の維持管理についても提案があったり、サポートしてくれることが期待できますので、安心だと言えます。その会社の管理の形態や管理戸数の実績などにより判断するようにします。

しかし、既存の物件は1ヶ月から2ヶ月前に解約の申し出があり、はじめて募集物件になるわけです。空きのロスを無くすためには、明け渡しが済む前に大家さんと相談をして募集の情報を出さなければなりませんが、対応が遅い会社であれば、空いてしまってから、あるいはリフォームを済ませてからの募集になります。ここでの違いが大きいことはおわかりでしょうが、新築の賃貸住宅も同じことが言えます。完成してから募集をするという姿勢であれば、後手後手になりかねません。計画段階から管理会社を選定して、完成前に募集をスタートできるようにしたいものです。

賃貸事業の経営者だという認識が必要

賃貸事業は、最初に賃貸住宅を建てなければ始まりません。そこで、まず賃貸住宅を建てることからスタートするのですが、少しずつ資金を出していけばいいということではなく、最初に賃貸住宅分の資金を出してしまわなければなりません。それが自己資金であれ、借入であれ、大家さんは賃貸事業に投資することになります。その投資額は少なくても千万円単位、大きいと億単位のものですから、かなりの大事業と言えます。

建物は木造でも20年以上、鉄筋コンクリートだと50年以上も維持できるのですから、大きな金額を借り入れるものの、それが一度に無くなるものではないので、普通の事業や株などに比べると、むしろ不安は少ないのが賃貸事業なのです。

それでも千万単位、億単位の建築費をかけますので、スタートするときの収支バランスに余裕があることや幅広い年代層に受け入れられる部屋作りをするというようなコンセプトを間違わないことが必須となります。

皆が知恵を絞った賃貸住宅が完成し、”すぐに満室”、”ずっと満室”が実現して、経営が安定すれば、借入により投資した資金は、順調に返済ができます。それでも、なるべく借入は少なくしたいところながら、他の賃貸住宅と差別化しながら、適正な家賃をもらうためには、安く造ることにこだわると競争力に欠けることになりかねません。入居者を満足させるためには、時代のニーズにあった設備や付加価値が必要であり、そのために費用をかける決断が大事になります。

部屋を貸すことは、直接物を売る販売業などとは違って、常に入居者と接するわけではないので、「賃貸業」という意識は少ないかも知れません。しかし、入居者から家賃という対価を受け取る以上はれっきとした事業であり、入居者はお客様ということになります。

賃貸業では、お客様である入居者が入らなければ成り立ちません。以前の貸し手市場のように、「貸してやっている」という殿様商売では通用しなくなりました。今や借り手市場ですから、大家さんの方が入居者や時代のニーズを理解し、研究して、賃貸業に生かさなければなりません。

賃貸事業は、提案を受けたときから助走が始まっています。意思決定から始まり、建てている間のさまざまな場面での選択や決断をする毎に賃貸事業への自覚も出てくることとなります。建物が完成して引き渡しが終わり、「満室になってやれやれ、一段落」と思いたいところですが、実は、そこからが本当の賃貸事業のスタートとなります。

こうした長期事業を決断し、自分の判断で経営を乗り切ることは並大抵ではありません。だからこそ、自分の味方になってくれるコンサルチームを選択し、協力を得ながら賃貸事業を運営する覚悟が必要になります。

なにより、経営者としての認識を持つことが事業の成功のカギだと言えます。

土地活用コンサルタント×不動産会社の「コンサルチーム」が目指すこと