INHERITANCE

不動産を生かした賢い相続

大増税時代がやってきた

相続税は増税される・・・対策しないと納税が増える

 相続税については、以前から改正が予定されていましたが、東日本大震災の影響などがあり、先延ばしをされてきました。けれども、昨年、ついに決定がなされ、2015年より、実施されることになりました。
 消費税は国民全員が負担しており、所得があれば所得税、住民税は納税義務が生じ、どれも節税の余地は少ないところです。収入のある層が増税の負担を担い、国を支えることになります。財産のある人は相続税の負担も出ますが、財産の内容や相続の仕方により、税負担は変えることができます。まとめて払うよりもムリのない長期の税負担をしていく方法もあります。
 これから迎える”大増税時代”に備え、賢く節税し、家族が争ったり、困ることのないよう、「相続を用意すること」が必要な時代になったと言えます。
 相続税の主な改正は、基礎控除が下がることと、段階を増やし、最高税率の引き上げです。現在は、亡くなられた方の数に対する課税件数の割合は4%程度に低下していることから、それを倍近くに増やすことを目的とした改正だとされています。
 今回の相続税の改正によって、今まで相続税はかからないと安心されていた方にも課税される場合もあり、今までも相続税の課税対象だった方には、さらに相続税が増えることは確実ですので、改正を見据えた対策が必要と言えます。
 主な解説は次のとおりです。

■相続税改正① 相続税の基礎控除が下がる
現在、検討されている税制改正により相続税が増税されることになります。予定されている改正では、相続税の基礎控除額が大幅に減らされますので、現行と比べると幅広い方々から相続税の負担を求めるということで
■相続税改正② 最高税率が50%から55%に引き上げられた
基礎控除の引き下げと合わせて、相続税の最高税率を現行の50%から55%に引き上げられました。
2さらに、6段階を8段階の引き上げもされています。これによっても財産の多い方は今までよりも5%も相続税が増えるわけですから、大きな増税になります。
■相続税③ 小規模宅地等の特例は緩和された
■贈与税① 贈与税も改正された
■贈与税② 相続時精算課税制度の要件は緩和された
■贈与税③ 教育資金一括贈与の非課税枠が創設された
税制改正の概要【相続税】
平成27年1月1日以後の相続から適用
現行の税制
基礎控除額 5000万円+1000万円×法定相続人の数
法定相続人の取得金額 税額 控除額
1千万円以下 10% 0円
1千万円超 3千万円以下 15% 50万円
3千万円超 5千万円以下 20% 200万円
5千万円超 1億円以下 30% 700万円
1億円超 3億円以下 40% 1,7000万円
3億円超 50% 4,700万円
改正後の税制
基礎控除額 3000万円+600万円×法定相続人の数
法定相続人の取得金額 税額 控除額
1千万円以下 10% 0円
1千万円超 3千万円以下 15% 50万円
3千万円超 5千万円以下 20% 200万円
5千万円超 1億円以下 30% 700万円
1億円超 2億円以下 40% 1,7000万円
2億円超 3億円以下 45% 2,7000万円
3億円超 6億円以下 50% 4,700万円
6億円超 55% 7,200万円
税制改正の概要【小規模宅地等の特例】
①・②は平成27年1月1日以後の相続から適用
③・④は平成26年1月1日以後の相続から適用
①特定住宅地等の限度面積
被相続人等の敷地が80%減額される特定居住用宅地等について、 限度面積が240㎡から330㎡(100坪)まで拡大されます。
  • 現行
    240㎡まで
  • 改正後
    330㎡まで
②特定居住用宅地等330㎡(自宅)と特定事業用等宅地等400㎡(会社や工場)で特例を受ける場合には、それぞれの適用対象面積まで利用が可能になります。(不動産賃貸や駐車場は除く)
③二世帯住宅で居住用スペースが完全に分離され、互いに行き来ができないような構造である場合でも居住用宅地に係る小規模宅地等の特例の適用が可能になります。
④老人ホームに入居したためご自宅に住まなくなった場合でも一定の条件を満たせば自宅とみなされ特例を適用する事が可能になります。
  • 1)介護が必要で入所した場合
  • 2)空き家になっている家屋を賃貸で活用していない場合
税制改正の概要【贈与税】
平成27年1月1日以後の贈与から適用
基礎控除後 の贈与額 現行の税額 改正後の税額
20歳以上の者が 直属尊属から贈与 左記以外の贈与
税額 控除額 税額 控除額 税額 控除額
200万円以下 10% 10% 10%
300万円以下 15% 10万円 15% 10万円 15% 10万円
400万円以下 20% 25万円 20% 25万円
600万円以下 30% 65万円 20% 30万円 30% 65万円
1,000万円以下 40% 125万円 30% 90万円 40% 125万円
1,500万円以下 50% 225万円 40% 190万円 45% 175万円
3,000万円以下 45% 265万円 50% 250万円
4,500万円以下 50% 415万円 55% 400万円
4,500万円以上 55% 640万円

税制改正の概要【贈与税②】

相続時精算課税の拡大
平成27年1月1日以後の贈与から適用
■贈与者
現行「65歳以上」
⇒改正後「60歳以上
■受贈者
現行「20歳以上の子」
⇒改正後「20歳以上の孫も贈与可能」

※20歳以上の子は、子が既に亡くなっていて推定相続人になっている孫を含む。
教育資金の一括贈与にかかる非課税措置の創設
平成25年4月1日から平成27年12月31日までに拠出されたもの
●現行⇒「教育費を支払の都度、贈与するなら贈与税の非課税」
(存続)
創設⇒「直系卑属(子・孫・曽孫)30歳になるまでの学校等に支払われる入学金や学費、学校等以外に支払われる塾や習い事の費用のうちに対して、銀行等を通して一定のものが教育資金として非課税の対象となる。1500万円まで非課税
■概要
30歳未満受贈者(贈与を受ける人)の教育資金に充てるため、その直系尊属が金銭を拠出し、金融機関に信託等をした場合には、拠出額のうち1500万円(※)までの金額については、贈与税は課されません。
(※)学校等以外の者に支払われる金銭については500万円まで。
■申告
拠出時:受贈者は、「教育資金非課税申告書」を税務署に提出
払い出し時:受贈者は、払い出した金銭を教育資金に充てたことを証明する書類を金融機関に提出。
■終了時
受贈者が30歳に達した日に金融機関に残額があるときは、その
 残額に対して贈与があったものとして贈与税が課されます。
※ただし、受贈者が30歳になる前に死亡した場合には、残額については、贈与税は課されません。

所得税には特別復興税が上乗せされた・・・2.1%増えた

 相続税よりも先行して、東日本大震災からの復興に使う予算の財源を確保するため、所得税を2.1%上乗せする「復興増税」が、昨年1月より始まっており、2037年までの25年間続きます。個人住民税も本年から1000円が上乗せされます。
 サラリーマンの源泉所得税は毎月の天引きされていますので、その実感は源泉税を支払っている人の方が早かったかもしれません。いままでと同じお給料であれば、特別復興税が増える分、手取りは少なくなり、さらに住民税も増えていますので、手取りが減ったと思うことでしょう。
 不動産オーナーで、個人経営の場合では、毎月の源泉徴収をしていないため、特別復興税に気がつくのは、3月の確定申告が初めてと言うことになるかもしれません。

 たとえば、土地を5000万円で売却した場合、原価が5%の250万円だとすると、仲介手数料は153.8万円ですので、4596.2万円が譲渡益となります。譲渡税15%、住民税5%で、今までは919.24万円が納める税金でした。
 ところが、特別復興税は、譲渡税689.43万円に特別復興税2.1%を上乗せするため、譲渡税は15.315%となるため、703.9万円となり、住民税229.81万円を足して、933.71万円で、14.47万円万円が増える計算です。
 また、年間の所得税が10万円だとすると、10万円×2.1%=2100円となり、今までよりは2100円を多く納税することになります。

消費税はいずれ10%になる・・・5%から倍になる影響は大きい

 社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うため、消費税法が改正されました。ひとまず、2014年4月から8%になることが決定し、その後、状況を鑑み、早ければ2015年10月に10%になることが予定されています。
 改正にあたっては経過措置が設けられており、指定日(平成25年10月1日)
の前日、つまり平成25年9月30日までに契約が行われた場合には、引渡しが施行日(平成26年4月1日)以降になった場合であっても旧税率の5%が適用されることになります。
 また、契約後に追加工事等で契約金額が増加した場合については、全体が新税率の適用を受けるわけではなく、増額分の金額のみが新税率の適用対象となります。
 土地や家賃は非課税ですが、土地を売却するときの仲介手数料や賃貸住宅を管理する場合の管理費をはじめとする経費全般については消費税が課税されています。
 自分が課税業者でなくても、消費税の増税分だけ、費用負担が多くなりますので、賃貸経営に関わる切実な問題と言えます。

固定資産税は下がらない・・・持っているだけで税金は増える

 現金や預金は、使わなければ減ることはありません。ならば増えるかといえば、かつてないほどの低金利の時代ですから、定期預金や積み立てにしても、ほとんど利息がつかず増えるという感覚にはなりません。かつて老後は、退職金の金利で生活できると言われた時代がありましたが、いまは夢の話となってしまったのです。
 このように、現金や預金は持っていて増えないとはいうものの、負担にはならないばかりか、いざとなれば使うことができ、役に立つという大きな安心感があります。
 では、不動産はどうでしょうか。以前は、土地はただ持ってさえいれば値上がりし、売ってお金に換えられる一番の財産として価値がありましたが、そんな土地神話の時代は終わりました。
 いまや、不動産は値上がりは期待できず、持っているだけでも固定資産税という税金を払わなくてはなりません。なにも使っていない空き地や農地、山林に対しても同様に固定資産税が課税されますので、持っているだけでは負担になります。

 経済的に余裕があるときであれば、多少の税金はほかの収入から払ってもさほど負担にはならなかったのかもしれませんが、いまや給与も増えないばかりが減るかもしれない時代ですから、ここへきて、固定資産税の負担は大きくなってきました。
 特に空き地の固定資産税は、その土地から収益が生まれませんから、ほかの収入をあてるとすれば、その空き地に限っていえば、固定資産税分の持ち出しとなるわけです。これが負担にならないわけはありません。
 固定資産税は公示価格の70%とされていますが、以前はそれ以下の評価をしていたため、徐々に評価を上げていくため、地価や路線価が下がる時代であっても、固定資産税は徐々に値上がりしてきました。今後も増加が予想されます。
 空き地のままで土地を所有していると、土地からの収入がなくても毎年固定資産税を払わなくてはなりません。土地の収支では「赤字」であり、自分のお給料など他の収入から、あるいは預金の中から、または土地を売った代金から払うことになります。
 更地のままだと、土地の固定資産税は固定資産税評価額の1.4%、都市計画税は0.3%の標準税率で課税されますが、持っているだけで、毎年、ずっと払い続けないといけないこと、今後も増税が予想されることから、固定資産税の負担に苦労する人が増えることは間違いないでしょう。

土地持ち資産家の相続対策のヒントになる10項目

大増税時代がやってきた

相続税は増税される・・・対策しないと納税が増える

 相続税については、以前から改正が予定されていましたが、東日本大震災の影響などがあり、先延ばしをされてきました。けれども、昨年、ついに決定がなされ、2015年より、実施されることになりました。
 消費税は国民全員が負担しており、所得があれば所得税、住民税は納税義務が生じ、どれも節税の余地は少ないところです。収入のある層が増税の負担を担い、国を支えることになります。財産のある人は相続税の負担も出ますが、財産の内容や相続の仕方により、税負担は変えることができます。まとめて払うよりもムリのない長期の税負担をしていく方法もあります。
 これから迎える”大増税時代”に備え、賢く節税し、家族が争ったり、困ることのないよう、「相続を用意すること」が必要な時代になったと言えます。
 相続税の主な改正は、基礎控除が下がることと、段階を増やし、最高税率の引き上げです。現在は、亡くなられた方の数に対する課税件数の割合は4%程度に低下していることから、それを倍近くに増やすことを目的とした改正だとされています。
 今回の相続税の改正によって、今まで相続税はかからないと安心されていた方にも課税される場合もあり、今までも相続税の課税対象だった方には、さらに相続税が増えることは確実ですので、改正を見据えた対策が必要と言えます。
 主な解説は次のとおりです。

■相続税改正① 相続税の基礎控除が下がる
現在、検討されている税制改正により相続税が増税されることになります。予定されている改正では、相続税の基礎控除額が大幅に減らされますので、現行と比べると幅広い方々から相続税の負担を求めるということで
■相続税改正② 最高税率が50%から55%に引き上げられた
基礎控除の引き下げと合わせて、相続税の最高税率を現行の50%から55%に引き上げられました。
2さらに、6段階を8段階の引き上げもされています。これによっても財産の多い方は今までよりも5%も相続税が増えるわけですから、大きな増税になります。
■相続税③ 小規模宅地等の特例は緩和された
■贈与税① 贈与税も改正された
■贈与税② 相続時精算課税制度の要件は緩和された
■贈与税③ 教育資金一括贈与の非課税枠が創設された
税制改正の概要【相続税】
平成27年1月1日以後の相続から適用
現行の税制
基礎控除額 5000万円+1000万円×法定相続人の数
法定相続人の取得金額 税額 控除額
1千万円以下 10% 0円
1千万円超 3千万円以下 15% 50万円
3千万円超 5千万円以下 20% 200万円
5千万円超 1億円以下 30% 700万円
1億円超 3億円以下 40% 1,7000万円
3億円超 50% 4,700万円
改正後の税制
基礎控除額 3000万円+600万円×法定相続人の数
法定相続人の取得金額 税額 控除額
1千万円以下 10% 0円
1千万円超 3千万円以下 15% 50万円
3千万円超 5千万円以下 20% 200万円
5千万円超 1億円以下 30% 700万円
1億円超 2億円以下 40% 1,7000万円
2億円超 3億円以下 45% 2,7000万円
3億円超 6億円以下 50% 4,700万円
6億円超 55% 7,200万円
税制改正の概要【小規模宅地等の特例】
①・②は平成27年1月1日以後の相続から適用
③・④は平成26年1月1日以後の相続から適用
①特定住宅地等の限度面積
被相続人等の敷地が80%減額される特定居住用宅地等について、 限度面積が240㎡から330㎡(100坪)まで拡大されます。
  • 現行
    240㎡まで
  • 改正後
    330㎡まで
②特定居住用宅地等330㎡(自宅)と特定事業用等宅地等400㎡(会社や工場)で特例を受ける場合には、それぞれの適用対象面積まで利用が可能になります。(不動産賃貸や駐車場は除く)
③二世帯住宅で居住用スペースが完全に分離され、互いに行き来ができないような構造である場合でも居住用宅地に係る小規模宅地等の特例の適用が可能になります。
④老人ホームに入居したためご自宅に住まなくなった場合でも一定の条件を満たせば自宅とみなされ特例を適用する事が可能になります。
  • 1)介護が必要で入所した場合
  • 2)空き家になっている家屋を賃貸で活用していない場合
税制改正の概要【贈与税】
平成27年1月1日以後の贈与から適用
基礎控除後 の贈与額 現行の税額 改正後の税額
20歳以上の者が 直属尊属から贈与 左記以外の贈与
税額 控除額 税額 控除額 税額 控除額
200万円以下 10% 10% 10%
300万円以下 15% 10万円 15% 10万円 15% 10万円
400万円以下 20% 25万円 20% 25万円
600万円以下 30% 65万円 20% 30万円 30% 65万円
1,000万円以下 40% 125万円 30% 90万円 40% 125万円
1,500万円以下 50% 225万円 40% 190万円 45% 175万円
3,000万円以下 45% 265万円 50% 250万円
4,500万円以下 50% 415万円 55% 400万円
4,500万円以上 55% 640万円

税制改正の概要【贈与税②】

相続時精算課税の拡大
平成27年1月1日以後の贈与から適用
■贈与者
現行「65歳以上」
⇒改正後「60歳以上
■受贈者
現行「20歳以上の子」
⇒改正後「20歳以上の孫も贈与可能」

※20歳以上の子は、子が既に亡くなっていて推定相続人になっている孫を含む。
教育資金の一括贈与にかかる非課税措置の創設
平成25年4月1日から平成27年12月31日までに拠出されたもの
●現行⇒「教育費を支払の都度、贈与するなら贈与税の非課税」
(存続)
創設⇒「直系卑属(子・孫・曽孫)30歳になるまでの学校等に支払われる入学金や学費、学校等以外に支払われる塾や習い事の費用のうちに対して、銀行等を通して一定のものが教育資金として非課税の対象となる。1500万円まで非課税
■概要
30歳未満受贈者(贈与を受ける人)の教育資金に充てるため、その直系尊属が金銭を拠出し、金融機関に信託等をした場合には、拠出額のうち1500万円(※)までの金額については、贈与税は課されません。
(※)学校等以外の者に支払われる金銭については500万円まで。
■申告
拠出時:受贈者は、「教育資金非課税申告書」を税務署に提出
払い出し時:受贈者は、払い出した金銭を教育資金に充てたことを証明する書類を金融機関に提出。
■終了時
受贈者が30歳に達した日に金融機関に残額があるときは、その
 残額に対して贈与があったものとして贈与税が課されます。
※ただし、受贈者が30歳になる前に死亡した場合には、残額については、贈与税は課されません。

所得税には特別復興税が上乗せされた・・・2.1%増えた

 相続税よりも先行して、東日本大震災からの復興に使う予算の財源を確保するため、所得税を2.1%上乗せする「復興増税」が、昨年1月より始まっており、2037年までの25年間続きます。個人住民税も本年から1000円が上乗せされます。
 サラリーマンの源泉所得税は毎月の天引きされていますので、その実感は源泉税を支払っている人の方が早かったかもしれません。いままでと同じお給料であれば、特別復興税が増える分、手取りは少なくなり、さらに住民税も増えていますので、手取りが減ったと思うことでしょう。
 不動産オーナーで、個人経営の場合では、毎月の源泉徴収をしていないため、特別復興税に気がつくのは、3月の確定申告が初めてと言うことになるかもしれません。

 たとえば、土地を5000万円で売却した場合、原価が5%の250万円だとすると、仲介手数料は153.8万円ですので、4596.2万円が譲渡益となります。譲渡税15%、住民税5%で、今までは919.24万円が納める税金でした。
 ところが、特別復興税は、譲渡税689.43万円に特別復興税2.1%を上乗せするため、譲渡税は15.315%となるため、703.9万円となり、住民税229.81万円を足して、933.71万円で、14.47万円万円が増える計算です。
 また、年間の所得税が10万円だとすると、10万円×2.1%=2100円となり、今までよりは2100円を多く納税することになります。

消費税はいずれ10%になる・・・5%から倍になる影響は大きい

 社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うため、消費税法が改正されました。ひとまず、2014年4月から8%になることが決定し、その後、状況を鑑み、早ければ2015年10月に10%になることが予定されています。
 改正にあたっては経過措置が設けられており、指定日(平成25年10月1日)
の前日、つまり平成25年9月30日までに契約が行われた場合には、引渡しが施行日(平成26年4月1日)以降になった場合であっても旧税率の5%が適用されることになります。
 また、契約後に追加工事等で契約金額が増加した場合については、全体が新税率の適用を受けるわけではなく、増額分の金額のみが新税率の適用対象となります。
 土地や家賃は非課税ですが、土地を売却するときの仲介手数料や賃貸住宅を管理する場合の管理費をはじめとする経費全般については消費税が課税されています。
 自分が課税業者でなくても、消費税の増税分だけ、費用負担が多くなりますので、賃貸経営に関わる切実な問題と言えます。

固定資産税は下がらない・・・持っているだけで税金は増える

 現金や預金は、使わなければ減ることはありません。ならば増えるかといえば、かつてないほどの低金利の時代ですから、定期預金や積み立てにしても、ほとんど利息がつかず増えるという感覚にはなりません。かつて老後は、退職金の金利で生活できると言われた時代がありましたが、いまは夢の話となってしまったのです。
 このように、現金や預金は持っていて増えないとはいうものの、負担にはならないばかりか、いざとなれば使うことができ、役に立つという大きな安心感があります。
 では、不動産はどうでしょうか。以前は、土地はただ持ってさえいれば値上がりし、売ってお金に換えられる一番の財産として価値がありましたが、そんな土地神話の時代は終わりました。
 いまや、不動産は値上がりは期待できず、持っているだけでも固定資産税という税金を払わなくてはなりません。なにも使っていない空き地や農地、山林に対しても同様に固定資産税が課税されますので、持っているだけでは負担になります。

 経済的に余裕があるときであれば、多少の税金はほかの収入から払ってもさほど負担にはならなかったのかもしれませんが、いまや給与も増えないばかりが減るかもしれない時代ですから、ここへきて、固定資産税の負担は大きくなってきました。
 特に空き地の固定資産税は、その土地から収益が生まれませんから、ほかの収入をあてるとすれば、その空き地に限っていえば、固定資産税分の持ち出しとなるわけです。これが負担にならないわけはありません。
 固定資産税は公示価格の70%とされていますが、以前はそれ以下の評価をしていたため、徐々に評価を上げていくため、地価や路線価が下がる時代であっても、固定資産税は徐々に値上がりしてきました。今後も増加が予想されます。
 空き地のままで土地を所有していると、土地からの収入がなくても毎年固定資産税を払わなくてはなりません。土地の収支では「赤字」であり、自分のお給料など他の収入から、あるいは預金の中から、または土地を売った代金から払うことになります。
 更地のままだと、土地の固定資産税は固定資産税評価額の1.4%、都市計画税は0.3%の標準税率で課税されますが、持っているだけで、毎年、ずっと払い続けないといけないこと、今後も増税が予想されることから、固定資産税の負担に苦労する人が増えることは間違いないでしょう。

土地持ち資産家の相続対策のヒントになる10項目